そんな感傷に燕が浸っていると、
「オイ! 今柊と何話してたんだよ?(笑)」
今話しかけてきたのは、朝比奈涼平(あさひなりょうへい)。
燕の親友、と言うより、悪友である。
「別に。 ただ一緒に帰ろうって誘われただけ。」
燕は、そっけなく答える。
「マジか? やったじゃん! この大和高校のアイドルと放課後デートだぜ!」
涼平は、自分の事でもないくせにテンションが上がっていた。
「まあ・・・な。」
それに対して、燕は冷静だった。
「何だよ! その態度! もっと喜べよ! お前好きなんだろ?」
少し感情的になる涼平。
「・・・悪い。 その話はしないでくれ。」
少しトーンを落として、燕は言った。
「・・・分かったよ。」
どうやら、涼平は何かを悟ったようだ。
「ありがとう。」
そっと、だが優しく答える燕。
「あのサ、すごい話変わるんだけど、最近流行ってる都市伝説知ってる?」
涼平は、若干目を輝かせながら尋ねる。
「う〜ん、思いつかないな・・・。 どんな話?」
燕は、案外こういうオカルト系の話が好きなようだ。
「最近、この辺って殺人事件多いだろ?」
「そういえば、そうだな。」
「で、その事件には、ある共通点があるんだって。」
「何だよ。 その共通点って。」
「警察は隠しているんだけど、その殺された人達の体には、血が一滴も残ってないんだって!」
「つまり、吸血鬼か・・・」
「な? おもしろいだろ?」
「ああ! 流石に大和高校の情報屋の名は伊達じゃないな!」
子どもっぽく燕が答える。
「まあな! あ、もうすぐ授業だから、席に戻るわ。」
「おう。」
燕が返事をすると、涼平は足早に自分の席に戻っていった。
と、同時にチャイムが鳴り、先生が入ってきた。
「よし。 じゃあ授業やるぞ。 教科書の37ページ開け。」
しかし、燕は授業よりも、涼平から聞いた話が気になっていた。
(吸血鬼か・・・・・)
何故だかこの話は燕の頭から離れていかなかった。